ソフトバンクの回線を使ったモバイルルーター「ネクストモバイル」は、最大で月に50GBまで「Softbank 4G LTE」が使えるという太っ腹なサービスです。

WiMAXサービスに置き換えると、「最大で月に50GBまでau 4G LTEを使える!」となるわけですが、残念ながらWiMAXで「au 4G LTE」を使えるハイスピードプラスエリアモードは、月に7GBまでしか使うことができません。

このことからも、ネクストモバイルがいかに太っ腹な通信サービスであるかがわかります。

また、ネクストモバイルの魅力のひとつに、提供されるSIMが「ソフトバンクマルチUSIM(F)」であることがあります。

このSIMはソフトバンクがSIMフリースマホを持込で契約・機種変更する利用者に向けて提供している、ちょっと特殊なSIMになります。

つまり、ソフトバンクのサービスをSIMフリー機器で使える、数少ないSIMというわけです。

この記事では、ネクストモバイルで提供される「ソフトバンクマルチUSIM(F)」の仕様からネクストモバイルの良い点をまとめ、ちょっとだけ「ソフトバンクマルチUSIM(F)」で遊んでみたことを記事としています。




ネクストモバイルの魅力

ネクストモバイルってどんなサービスなのかを、公式サイトに記載されているアピールポイントからまとめてみます。

ネクストモバイル公式ページ | ネクストモバイル

速度制限なし


ネクストモバイルはプランによって毎月の使えるデータ量が決まっていて、その量を超えると月末まで128Kbpsに速度が制限されます。この「月のデータ量を超過した場合の速度制限」はWiMAXでもPcket Wi-Fiでも同じですね。

しかし、ネクストモバイルは「毎月のデータ容量を超えた場合の速度制限以外の制限が一切なし!」と謳っています。

たとえばWiMAX2+でも、毎月のデータ容量を超過した場合以外において「3日で10GBを超過した場合の速度制限」というルールが存在します。

このような「但し書き」の制限が一切なく、毎月のデータ容量の範囲内であれば全力で高速通信が利用できる、というのが「速度制限なし!」となります。

広いエリアで利用可能


そして、この「広いエリアで利用可能」というのが結構強力なポイントになります。

ネクストモバイルはソフトバンクの「Softbank 4G LTE」および「Softbank 4G」による通信サービスです。

「Softbank 4G LTE」はスマホや携帯電話で音声通話・データ通信に使われている通信方式であり、「つながりやすい」という特徴の電波です。WiMAXでいえば「au 4G LTE(ハイスピードプラスエリアモード)」に当たります。

「Softbank 4G」は主にデータ通信で利用される「高速で比較的回線に余裕のある」通信方式であり、この「Softbank 4G」は別名「AXGP」とも言われ、Softbank AirやPocket Wi-Fiでも利用されているデータ通信方式です。WiMAXでいえば「WiMAX2+(ハイスピードエリアモード)」にあたります。

WiMAX2+通信やAXGP(Softbank 4G)による通信よる通信は「au 4G LTE」や「Softbank 4G LTE」による通信よりも「高速で回線に余裕がある」という特徴があり、データ通信の「使い放題」に向いている通信方式ですが、反面「障害物に弱い」という弱点があるため、WiMAXもそうですが「つながらない場所が多い」という不満が出てくるわけです。

ネクストモバイルは大容量通信ができるうえに、標準で「Softbank 4G LTE」による通信ができることから、毎月のデータ容量の範囲内においてはWiMAXよりも繋がりやすい、と言えます。

この点で、ネクストモバイルはWiMAX2+よりも広いエリアでつながりやすい、と言えます。


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ネクストモバイルの魅力

ソフトバンクマルチUSIM

マルチUSIM(F)とは

ネクストモバイルの魅力は、提供されるSIMが「ソフトバンクマルチUSIM(F)」である、ということです。

このSIMは、ソフトバンクが持込新規契約・持込機種変更などの「特別な場合」において発行している、ソフトバンクの「SIMフリースマホ向け」のSIMです。

つまり、ネクストモバイルの通信サービスは音声通話こそできないものの、ソフトバンクでSIMフリースマホを「持込新規・持込機種変」した場合の通信サービスと同じ、と想像できます。

他社が販売する携帯電話をソフトバンクで利用する | ソフトバンク

ソフトバンクSIMの「IMEI制限」

ソフトバンクは多くの場合において、スマホとSIMを紐付て管理しており、ソフトバンクの契約時の組み合わせ以外では利用できないような仕組みを導入しています。

これを「IMEI制限」といいます。

IMEIとは端末固有の番号であり、IMEIを見ると「どこで買ったスマホか?」「機種は何か?」がわかります。

そして、ソフトバンクで正規契約したスマホとSIMの組み合わせ以外ではデータ通信ができないようになっている仕組みを「IMEI制限」といいます。

マルチUSIM(F)の特徴

マルチUSIM(F)は、ソフトバンクがSIMフリースマホ向けに提供している特別なSIMです。

そのため、上述のような「IMEI制限」がないのが特徴です。

つまり、SIMフリー端末やソフトバンクスマホであれば、機種を問わずにデータ通信を利用することができるSIM、ということになります。

SIMフリー端末で使える(はず)

このように、ネクストモバイルが提供しているSIMが「ソフトバンクマルチUSIM(F)」であることから、ネクストモバイルの契約SIMは(理論上)同時に提供される専用ルーター以外にも、SIMフリースマホでも使えるはずだと想像できます。


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ネクストモバイルの残念なところ

対応ルーターがちょっと残念

ネクストモバイルの通信サービスは非常に魅力的です。

WiMAXやSoftbank Airのように「使い放題」とはなりませんが、最大で月に50GBもの大容量を月額2,760円から使え、しかもその使える電波が主としてスマホで使っている「Softbank 4G LTE(FD-LTE)」であるところが魅力です。

つまり、「安くて、どんな場所でも繋がりやすい」という通信サービスが非常に安価で提供されている通信サービスです。

しかし、ネクストモバイルのちょっと残念なところは「提供されるルーターがAXGPに対応していない」という点です。

通信サービスとルーターの周波数対応

まず、ネクストモバイルが提供している「ソフトバンクマルチUSIM(F)」で使える周波数と、ネクストモバイルで提供されるSIMフリールーター「FS030W」の対応周波数を比較してみましょう。

LTE BAND FS030W Softbank
FDD-LTE 1 2.1GHz
3 1.7GHz
8 900MHz
11 1.5GHz
18 800MHz ×
19 800MHz ×
21 1.5GHz ×
26 800MHz × ×
28 700MHz ×
TDD-LTE 41 2.5GHz ×
(AXGP)

このように、非常に魅力的な「ソフトバンクマルチUSIM(F)」を使った通信サービスでありながら、提供されるルーターが「AXGP(Softbank 4G)」に対応していない、という点は非常にもったいない話しであり、ちょっと残念なところです。

スマホこそネクストモバイルの最強ルーター

では、この「ソフトバンクマルチUSIM(F)」の通信サービスを最大限に活用できる機器はなにか、と言えば、「SIMフリースマホ」となります。

最近のSIMフリースマホは非常に安価で高性能になってきています。電波の対応周波数もほぼ国内のキャリアの主要周波数に対応してきており、SIMフリースマホであればソフトバンクマルチUSIM(F)の優れたサービスを十分に活用できるはずです。


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ネクストモバイルをスマホで使ってみる

そいううことで、ちょっとだけですがネクストモバイルで提供されている「ソフトバンクマルチUSIM(F)」をSIMフリースマホで使ってみました。

はたして使えるのでしょうか?

SIMフリーNexus5で使ってみる

まず、私の手持ちのSIMフリースマホで現在はWi-Fi専用機として遊んでいる「Nexus5」で使ってみます。

このNexus5は旧イーモバイル時代にセット契約したスマホで、最初からSIMロックはかかっておらずSIMフリー状態のスマホです。

APNを設定してみる

APN設定内容はソフトバンク公式ページに記載されています。

他社が販売する携帯電話をソフトバンクで利用する | ソフトバンク

この内容そのままでAPN設定を行います。

LTEを掴んだ

いとも簡単に「LTE」の電波を掴みました。

速度計測

速度を計測してみました。

  • 下り27.5Mbps
  • 上り10.5Mbps

十分でしょ!

SIMフリーZenFone3で使ってみる

次に、手持ちのSIMフリースマホ「ZenFone3」で使ってみます。

ZenFone3はドコモ・au・ソフトバンクの主要周波数帯をほぼカバーしており、さらに2枚のSIMを同時に使えるDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)の高機能スマホです。

SIMを挿してみる

SIMを装着してみます。

ZenFone5はデュアルSIM(SIMが2枚挿せる)なので、SIMを装着した時点で確認のダイアログが表示されます。

今回はネクストモバイルのSIMをZenFone3の「SIM1」に挿しているので、「SIM1(利用可能)」で間違いないことを確認し、「モバイルデータをオンにする」をチェックして、そのまま「OK」です。

APNを設定してみる

Nexus5の場合と同様に、まずはAPNを設定します。

APN設定内容はソフトバンク公式ページに記載されています。

他社が販売する携帯電話をソフトバンクで利用する | ソフトバンク

この内容そのままでAPN設定を行います。

SIMの設定を確認

ZenFone3のデュアルSIMの設定を確認してみます。

ZenFone3はSIMが2枚挿せるデュアルSIMなのですが、今回は「SIM1」側にネクストモバイルのSIMを挿しています。

SIMは1枚しか挿していないので、この時点ですでに「4G」の電波を掴めています。

速度測定してみる

速度を計測してみました。

  • 下り55.1Mbps
  • 上り26.0Mbps

速いっ!

さっきのNexus5の時よりも速いですね。

時間は休日(土曜日)の20時台なので、ネットワーク的には混雑している時間帯ですが、そんなのお構いなしに高速です。

2枚のSIMを挿してみる

ZenFone3はせっかくのデュアルSIMなので、SIMを2枚挿してみましょう。

「SIM1」側には音声通話もできる「ワイモバイル・スマホプラン」のSIMを挿します。

「SIM2」側にはネクストモバイルのSIMを挿します。

この時点で、「データ通信はどちらのSIMで行いますか?」という意味で、確認のダイアログが表示されます。

データ通信はネクストモバイルの「SIM2」で行うため、「SIM2」を選びます。

デュアルSIMの設定確認

「デュアルSIMの設定」から、SIMの状況を確認します。

「SIM1(ワイモバイルSIM)」と「SIM2(ネクストモバイルSIM)」のどちらも「使用可能」となっていることを確認。

SIM1(ワイモバイル)設定確認

「モバイルネットワークの設定」からSIM1側のワイモバイル設定を確認します。

SIMを挿した時点の確認ダイアログですでに「データ通信はSIM2(ネクストモバイル)」と指定しているため、すでにSIM1側(ワイモバイル)は有線ネットワークが「2G/3G」となっています。

つまり、「4Gによるデータ通信は行わない、3Gによる通話のみ行う」という設定です。

SIM2(ネクストモバイル)設定確認

そして「モバイルネットワークの設定」からSIM2側のネクストモバイル設定を確認します。

こちらもすでに「データ通信を有効にする」になっており、有線ネットワークには「2G/3G/4G」が選択されています。

つまり、このSIM2を使って4G(LTE)によるデータ通信を行う、という設定です。

とくに面倒な設定もなく、最初に「どちらのSIMでデータ通信しますか?」のダイアログで「SIM2側(ネクストモバイル)」を指定しただけですが、すでにSIM1/SIM2どちらも電波を掴んでいるのがわかります。

SIMフリーiPhone8で使ってみる

最期にアップルストアから購入したSIMフリーの「iPhone8」で使ってみます。

構成プロファイルのインストール

iPhoneへSIMを挿した場合には構成プロファイルのインストールが必要です。

iPhoneは標準で非常に多くの通信事業者のプロファイルを持っているので、もしかすると「ソフトバンクマルチUSIM(F)」用のプロファイルも持っているかな?と思いましたが、SIMを挿しただけではアンテナピクトが「Softbank 3G」のままでした。

ちなみに、この「Softbank 3G」の状態で3G回線によるデータ通信は可能でした。

ネットをググると、有志がソフトバンクマルチUSIM(F)用の構成プロファイルを提供してくれていたので、そのプロファイルをインストールします。

電波を掴んだ!

構成プロファイルをインストールしてみました。

私の場合、構成プロファイルをインストールしただけでは「Softbank 3G」の表記のままであり、4G(LTE)の電波を掴めていませんでした。

なので、一旦機内モードをオンにし、直後にオフにすることで、無事「Softbank 4G」の表記となり、4G(LTE)の電波を掴むことができました。

インターネット共有をオンにしてみる

では、テザリング(インターネット共有)を使ってみましょう。

設定から「インターネット共有」をタップします。

テザリングはできない(みたい)

残念ながらそのままでインターネット共有はオンにできず、ソフトバンクのウェブサイトへ誘導されるダイアログが表示されました。

現在(2018年5月)ソフトバンクは格安SIMなどのMVNO事業者へテザリングを公開しておらず、「2018年春を目途にテザリングを公開する」とアナウンスされているようです。

なので、今はテザリングできませんが、もしかすると近日中にできるようになるかもしれません。

まとめ

ネクストモバイルの魅力

ネクストモバイルの通信サービスはソフトバンクの「Softbank 4G LTE」と「Softbank 4G」の両方が標準で使えます。

これをWiMAX(KDDI系列)に置き換えてみると「WiMAX2+通信とau 4G LTEが使える」ということになりますが、残念ながらWiMAXの場合には「つながりやすいau 4G LTE」が標準サービスではありません。

ネクストモバイルの魅力は、この「つながりやすいSoftbank 4G LTE」が標準で使えて、大容量(最大50GB)の高速通信が可能という点です。

そして、その高速・大容量通信サービスを月額2,760円から提供しています。

ネクストモバイル
ギガネクスト20 ギガネクスト30 ギガネクスト50
月額利用料 2,760円 3,490円 4,880円
月間データ容量 20GB 30GB 50GB
速度制限 なし
初期費用 なし

ネクストモバイルは「使い放題」のサービスではありませんが、「使い放題」とは別の切り口からWiMAXに対抗できる良サービスと言えます。

スマホでのデータ通信可能・テザリング不可(?)

今回、ネクストモバイルが提供している「ソフトバンクマルチUSIM(F)」をスマホに直接挿してで使ってみました。

「ソフトバンクマルチUSIM(F)」はソフトバンクがSIMフリースマホ向けに提供している、「IMEI制限のないSIM」です。

APNを正しく設定することで、SIMフリースマホでも使えることがわかりましたが、残念ながら現時点では「テザリングはできない」ようです。

ソフトバンクは格安SIMなどのMVNO事業者へ、今春(2018年)を目途にテザリングを解放する、とアナウンスしていることから、今後ネクストモバイルのSIMでもテザリングができるようになるかもしれません。

高速なデータ通信サービス

今回、直接スマホからの速度測定を行いました。

休日(土曜日)の20時台と、一般的にはネットワークの混雑する時間帯ですが、そんなのお構いなしに「下り55Mbps」という高速通信ができました。

大容量のデータ通信料金だけなら、格安SIMという選択もありますが、格安SIMではこの時間帯にこれほどの通信速度は出せません。

ネクストモバイルの魅力は「繋がりやすい電波が使える」「それも最大で月に50GBまで」という大容量・高速通信サービスが、「月額2,670円から使える」という点にあります。

毎月のデータ通信容量を50GBまでに抑えられる人であれば、ネクストモバイルは最強のデータ通信サービスと言えるでしょう。

スマホでの利用は自己責任

ネクストモバイルのサービス提供規約には以下の記載があります。

  • 専用のAPNに接続された国内モバイルデータ通信のみ定額対象となります。専用APN以外に接続されたモバイルデータ通信は定額対象外となりパケット通信が高額となる場合があります。ご利用時には端末設定情報に注意の上、ご利用ください。
  • 当社より提供するSIM カードを本サービス提供端末以外(他端末・SIMロックフリー端末含む)に挿入して利用した場合、APN 設定が異なるため定額対象外となり、パケット通信が高額となる場合があります。

ネクストモバイル重要事項説明(PDF) | ネクストモバイル

ネクストモバイルから提供される通信サービスは、「正しいアクセスポイントで利用」「同時に提供されるルーター端末で利用」を前提とし、これに反した場合には「定額サービスとならない場合がある」ということです。

ネクストモバイルのSIM(マルチUSIM(F))を提供ルーター以外で使用するのは、自己責任ということです。

私も今回少々のデータ通信を「提供されたルーター以外」のスマホでやっちゃっているので、来月の請求書を震えながら待つこととします。